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2021.02.17

【桜の香水ができるまで】#09「危機的な状況に」

2021年に入ってやっとのことで完成したサクラ・マグナの香りは、まさにLiberta Perfumeを象徴する素晴らしい香りになったと自負しています。威風堂々たる満開の桜、早くこの香りを世の中に送り出したい、そんな期待が高まっていました。しかし、そんな喜びも束の間、まだまだ様々な問題が控えていたのでした...。

今回のLIBERATIONコレクションでは、香料の原価を全く考慮せずにただただ素晴らしい香りを創ることにだけ意識を向けてきたのですが、いざ香料の見積もりを取ってみると、予想していた金額の倍以上かかってしまうことが分かりました。ジャスミンアブソリュート、イリスアブソリュート、バニラアブソリュートの香りが、どれほど貴重で高価なものかは、これまでのサクラジャーナルでもお伝えしてきたので、その費用の規模感が伝わるかと思います。まだまだ小さいパフューマリーである私たちには、これらの香料を使用した香りを発注することは一世一代の大勝負になります。

加えて、もっと厄介な問題が起こってしまいました。それはイリスアブソリュートの在庫の問題です。イリスアブソリュートは、とりわけ非常に貴重な香料なので、日本の香料会社でストックしている会社はほぼありません。私たちは日本の香料会社にお願いして調合香料(処方を全て混ぜた状態の香料)を発注しているのですが、その香料会社からも取り寄せになってしまうことを伝えられました。そしてイリスアブソリュートを取り寄せようとすると、なんと本場フランスの現地に行き、実際に香りを嗅いでからでないと取り引きができないというのです。非常に貴重な香料のため、品質担保の観点から、必ず現物を嗅いでからでないと取り引きできないとのことでした。さて、大変困ったことになりました。そもそもイリスアブソリュートを出発点にした桜の香りなので、どうにかして手に入れないとこの香りは実現できません。フランスで現物を嗅ぎに行こうにも、この状況下ではまず渡航は無理な状況です。

金額の問題、イリスアブソリュートの在庫の問題、この他にも記事にならないようなたくさんの課題を抱えながら悶々とする日々が続きました。まず金額の問題については、香料会社のご担当者様のご好意で、お見積もり価格から一部をお値引きいただけたことが非常に大きな助けとなりました。しかし、それでもまだパーソナライズラインと同じ価格でご提供することが難しく、プロダクトの価格を少し値上げする判断をせざるを得ませんでした。今回のイリスアブソリュートという最高級な香料を使用するということは、今までのラインよりもちょっぴりラグジュアリーなものになります。ブランドとして値上げをすることは大変心苦しいのですが、きちんとその背景をご説明する必要があると思いますし、皆さまにも納得いただいた上でこの香りを手にとっていただきたいと考えています。

またイリスアブソリュートの在庫の問題は、提携している工場の社長さまに無理をいって、サンプル作成用として確保していた国内のイリスアブソリュートを分けていただくことで解決することができました。確保できた香料があまり多くないため、初回のサクラ・マグナの販売はあまり製造数が多くありません。このLIBERATION(リバレイション)コレクションの香りはシーズンに合わせて発売をしますが、私たちの象徴的な香りとなるため、基本的にはずっと販売をしていきたいと考えております。もしかすると、サクラ・マグナの発売後に在庫切れになってしまう可能性もありますが、また何とかしてイリスアブソリュートの在庫を手配してまいりますので、長い目で見守っていただけたら幸いです。

次回、サクラジャーナル #10「さまざまな困難を乗り越えて」は、2021年2月19日公開です。

プロフィール:
山根大輝@NY406
Founder&CEO。大学卒業後、コンサルティングファームで働きながらパルファンサトリで調香を学ぶ。好きな香料はプチグレン、ネロリ、ガルバナム。LIBERTAはグリーンタイプを愛用。

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