さくらの幹となるイリスアブソリュートやサンダルウッドを減らしてしまうと、ぼったりと重たいフローラルになってしまう。フローラルに偏ると伸びやかさが失われてしまう。一度完成させた各ベースにまで遡り、処方を組み換えて実験を繰り返すこと数十回。試作としてSS-13になった時点で、やっと目指すべき香りの骨子をまとめることができました。さらに、柔らかな風が吹き抜けるようなトップノートを求め、香りの立ち上りを下支えしてくれるイランイランを調合し、さらに施策を重ねていきました。
この頃になると、クリスマスの需要でWEBからの注文も増加し、香りの製造と発送作業に追われたり、大阪のイベントで移動があったりと、まとまった時間がなかなか取れなくなってきていました。そしてあっという間に年末が近づいてくる...と迫りくる焦燥感との戦いにもなっていました。
果たして桜の季節までにさくらの香りは完成するのか……。
次回、サクラジャーナル #06「とある香料との出会い」は、2021年2月11日公開です。
プロフィール:
山根大輝@NY406
Founder&CEO。大学卒業後、コンサルティングファームで働きながらパルファンサトリで調香を学ぶ。好きな香料はプチグレン、ネロリ、ガルバナム。LIBERTAはグリーンタイプを愛用。