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2021.02.09

【桜の香水ができるまで】#05「試作が完成...?」

ある秋の日に出来上がった試作の1本目にSS-01というロット番号をつけ、少し寝かせてから実際に香りを嗅いでみました。すると、想像していた堂々としたサクラの片鱗を感じさせるような香り立ちになってはいるのですが、どこか鼻にツンツンと刺さってくるような香りになってしまっていました。私たちがプレタポルテ(完成品)であるLIBERATION(リバレイション)コレクションで提供したいのは、嗅いだ瞬間から鼻を柔らかく包み込み、ずっと鼻を近づけていたくなるような心地よさです。何が足りないのだろう…...頭を抱えながら改良を重ねるのですが、しかしどんなに手を変えても、頭の中にある想像上の香りには近づかないのです。

さくらの幹となるイリスアブソリュートやサンダルウッドを減らしてしまうと、ぼったりと重たいフローラルになってしまう。フローラルに偏ると伸びやかさが失われてしまう。一度完成させた各ベースにまで遡り、処方を組み換えて実験を繰り返すこと数十回。試作としてSS-13になった時点で、やっと目指すべき香りの骨子をまとめることができました。さらに、柔らかな風が吹き抜けるようなトップノートを求め、香りの立ち上りを下支えしてくれるイランイランを調合し、さらに施策を重ねていきました。

この頃になると、クリスマスの需要でWEBからの注文も増加し、香りの製造と発送作業に追われたり、大阪のイベントで移動があったりと、まとまった時間がなかなか取れなくなってきていました。そしてあっという間に年末が近づいてくる...と迫りくる焦燥感との戦いにもなっていました。
果たして桜の季節までにさくらの香りは完成するのか……。

次回、サクラジャーナル #06「とある香料との出会い」は、2021年2月11日公開です。

プロフィール:
山根大輝@NY406
Founder&CEO。大学卒業後、コンサルティングファームで働きながらパルファンサトリで調香を学ぶ。好きな香料はプチグレン、ネロリ、ガルバナム。LIBERTAはグリーンタイプを愛用。

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