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2021.06.13

ひまわり調香日記(後編)

プレタポルテラインとなるLIBERATIONコレクションの第二弾、SOLTERRA(ソルテッラ)。その誕生の裏側を、私の日記とメモから振り返ってみます(一部わかりやすく加筆・修正しています)。

 

皆さまにとって、あまり有意義なコンテンツはないかもしれませんが、何かモノづくりを目指す方にとって、この等身大の裏側が少しでも参考になればと考えています。

 

2020年6月26日(金)

パフューマーチームと、ひまわりのクリエーションを開始することを共有した。「大輪を咲かせる一本のひまわり」のコンセプトを伝えた。ネロリとプチグレンのみずみずしく、ちょっぴりグリーンを感じる香りをキーノートにすることを決定。今年の夏は、本物のひまわりにたくさん触れておこう。

 

2020年7月31日(金)

全体ミーティングを開催した。チーム全員に新しくプレタポルテラインのクリエーションを開始すること、そしてその一作に「ひまわり」をテーマに取り上げることを共有した。

 

そしてSOLTERRAの骨格となる試作(1HS-17-3)をみんなに嗅いでもらった。シトラスタイプが好みではない、アートディレクターのYapeさん以外は、みんな好きといってくれたように思う。

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2020年8月7日(月)

顧問のシニアパフューマーに処方を共有し、サンプルの制作を依頼した。ネロリ・オスマンサスをはじめ、パチュリやベチバーなど、こんなに高価な香料使うの!?と驚かれた(というより、こんな処方を普通は作らない!と怒られてしまった)。

 

私たちは小売店やディストリビューターに香水を卸していないし、大手のブランドのようにたくさんの広告費を投下している訳でもない。だから香料にこそ、最もお金をかけたいと考えている。いい香りにはテクニックだけではなくて、いい素材が必要だと信じているから。

 

2020年8月16日(水)

お盆があけて、オフィスに調合香料のサンプルが届いた。鼻あたりが心地よく、ずーっと嗅いでいたくなるような香りになっている。そして驚いたことに、調合香料はブライトイエローのうっとりするほど美しい色だった。

 

2020年9月10日(木)

生産パートナーの工場にあるアトリエで、シニアパフューマーに調合香料を嗅いでもらったが、トップの香りたちがよくないとの指摘をうけた。確かにトップノートの伸びやかさを、何かが蓋をしてしまっているような気がする...。

 

(そして、ここから苦難のリクリエーションの旅が始まる...)

 

2020年10月16日(金)

日々、いろいろな仕事に追われている。ひまわりの香りは、グリーン系の香料を調整することでトップノートの香り立ちを改善しはじめた。正解、というかゴールがわからなくなってきた。ゆっくりと香りに向き合う時間がほしい。

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2020年11月16日(月)

Ginza Sixのポップアップイベントで、改良中のひまわりを嗅いでもらった。香水ブランドのディレクターや販売員の方からも、気にってもらえたように思う。同業の方々から褒めてもらえるのは、ちょっぴり自信につながる。

 

(この辺りから、サクラマグナのクリエーションが本格化し、一旦休止)

 

2021年3月3日(水)

サクラマグナの予約販売が始まった。予想を超えて反響をいただいている。嬉しい反面、この挑戦的な香りが世の中に受け入れてもらえるのか、少し不安でもある。

 

2021年3月24日(水)

アートディレクターのYapeさんと、ジャーナル担当のベジェさんと一緒に、この香りに名前をつけるために、色んな名前を出しあってみた。SOLTERRAがこの香りを表すのにぴったりな気がする。そして誰が出したか忘れたが、耳触り重視の「ヒマワリ・コマワリ」は即刻却下をした。

 

2021年3月27日(土)

自分の誕生日が「桜の日」であることを、三十年生きてきて初めて知った。そろそろ桜の心地よい余韻から抜け出して、ひまわりの香りにもまた向き合おう。

 

2021年4月9日(金)

ひまわりのグリーンの調整をするも、あまり伸びやかな印象にならない。パフューマーチームで悩みに悩んで、思いきってプチグレンとパチュリ、イランイランを抜いて分解してみた。伸びやかな香りになったが、まるでハリボテのひまわりのように香りがスカスカになる。どうしたものか。

 

2021年4月16日(金)

パフューマーチームの武宮さんが全体のバランスを整え、そして香りの持続性を改善するためにオリバナムを処方に加えた。不思議なことに、スカスカな印象の香りもまとまりをみせ、格段に完成に近づいてきた。あとは細部を整えるだけ。

 

2021年5月14日(金)

キービジュアルの撮影。この時間は不安と期待が入り混じる。うまくいってくれると願い、途中で名古屋行きの新幹線に乗る。

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2021年5月21日

SOLTERRAのティザーサイトを公開した。前回のサクラマグナの時もそうだったけど、テイザーサイトの段階では、まだ本プロダクトが完成しきっていない。スモールチームで季節ごとに香りを発表するには、このヒリヒリするタイムラインと付き合っていかないとならないのだろう。

 

2021年5月27日(木)

充填されたSOLTERRAを長野まで取りにいった。プロダクトとの対面の瞬間が、最もワクワクするかもしれない。本格的に香りに命が吹き込まれる、そんな気分になる。

 

2021年6月7日

SOLTERRAの情報を解禁。早速ムエットが届いた方からも驚きの声をいただく。この香りをクリエーションしてよかったと思う。同時に、この香りが誰かの未来を明るく照らしてあげることが出来る存在になってほしいと強く願う。

 

2021年6月8日

自分でタイムラインを引き「ひまわり調香日記を書きます!」と宣言したにも関わらず、公開の3日前になってやっと書き始めているのである。次回はもう少し計画的に書けるようにしよう。

 

◎まとめ

さて、思い出を振り返りながら、まとめてみたのですが、ここまで書いても誰のためになるのかわからない文章になってしまいました。多くの方が「LIBERTA perfume

」はビジュアルも可愛いし、計画的にブランドを運営してるんだろうな」と感じるかな、と想像するのですが、実は色んなハプニングがあり、泥くさいことばかりなのです。

 

私たちのクリエーションの裏側を、いつかDiorのようにドキュメンタリーにしたら、美しくはないかもしれないけど、香りにかける情熱が伝わるんじゃないかなと妄想をしています(どなたかドキュメンタリーを撮れる方、いつかよろしくお願いします)

 

6/7(月)〜13(日)にて、Life Scent Weekという表参道で開催するイベントでは、SOLTERRAを先行販売いたします。ぜひお近くの方はイベントに足を運んでいただければ嬉しいです。遠方の方は、ムエットを無料でお配りしております。ぜひ公式サイトからお求めください。


 

プロフィール:
山根大輝@NY406
Founder&CEO。大学卒業後、コンサルティングファームで働きながらパルファンサトリで調香を学ぶ。好きな香料はプチグレン、ネロリ、ガルバナム。LIBERTAはグリーンタイプを愛用。

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