ムスクは、ヒマラヤ・ネパール・中国・シベリアなどに生息するジャコウジカの香嚢から得られる分泌物を乾燥したものです。この分泌物を生成するのはオスだけですが、ムスクの香りには誘引作用があり、オスは繁殖期になると香嚢から強い匂いを発散させてメスを誘引します。かつては天然のムスクが採取されていましたが、現在ではジャコウジカの捕獲はワシントン条約で禁止されており、天然のムスクを使用した香水はまずないと言えます。ムスクの香りはふんわりと甘く、暖かく包まれるようなどこか掴みづらい印象です。天然ムスクの代替として使われているのは合成のムスク香料ですが、一口にムスクと言っても実際には様々な種類があり、軽くパウダリーなもの、アニマリックで重厚なもの、ミルキーな甘さがあるものなど、演出したい香りによって使い分けがされます。