さて、今回のテーマは「プレゼントとしての香水」です。誕生以来、贈り物として選ばれることは多いはずの香水ですが(たとえばペリー提督は下田来航の際、時の将軍や幕閣に香水を贈ったいいます※1)、現代にあってもけっこう難易度が高いプレゼントなんじゃないかと思うのです。
嗅覚上の好き嫌いというのは人間の生理反応の中でも特に顕著です。にもかかわらず、服のサイズや食の好み以上に、相手の香りの好き嫌いを把握できるような機会ってあまりないですよね。ですから、もしあげた香りが好みじゃなかったら…と思うとプレゼントとして選ぶのには躊躇してしまいます。でもその一方で「プレゼントにお勧めの香水特集」のようなコンテンツが数多くあるのもたしかで、その中で万人ウケする香りやおしゃれなパッケージに支持が集まるのも香水をプレゼントすることの難しさの逆証明になっているのかもしれません。
今回お伝えしたいことは、その難しさを踏まえて香水を贈る時は何を軸にして選んだらいいかということです。本題に入る前にちょっと簡単なフローチャートを作ってみましたので、これを基に話を進めてゆこうと思います。
①プレゼントを贈りたい人がいる
毎度のことで恐縮ですがインターネットで「香水 プレゼント」と検索をしてみました。すると面白いくらいに、「彼女に」「彼氏に」というワードが並びます。確かに、上に書いた通り香りの好みを把握できる関係性というのはそれなりに深いものなのでしょうから、異性へのプレゼントというイメージが強いのはわかります。でもたとえば、この香り○○さんに似合いそうだなとか、自分の好きな香りを知ってほしいとか、おしゃれなプレゼントをしたいといった理由であれば贈りたい相手の性別は関係ないはずです。香水を贈るという行為自体が帯びる、異性を意識、想起させる雰囲気のようなものに左右されず、フラットに香水を楽しめたらいいなとわたし達は思います。
②香水を贈りたい理由がある
そもそも贈り物をする時というのはどんな時でしょう。お礼をしたい時、祝いたい時、詫びる時、あるいはなんでもない時だからこそ、とそこには様々な理由があると思います。それが義理や礼儀上ということもあるでしょう。しかし大切なことは、贈る理由がなんであれ、その相手のことをどれだけ考えて贈るか、ということではないでしょうか。そしてその結果香水を選択する場合、そこにはきっとクッキー缶を贈ること以上に強い想いがあるはずなのです。逆にもしそこに必然性がないのだとしたら、香水ブランドが書くこととして正しいかわかりませんが、香水を贈ることはおすすめしません。
③ハンドソープやバスグッズ
それでも何か香りにまつわるものを贈りたいという時には、バスグッズなどいいかもしれません。スキンケアブランドだけでなく、今や多くの香水メゾンやファッションブランドが香りにフォーカスした製品を作っています。価格も香水よりお手軽なので、ちょっとしたプレゼントにも最適です。
④相手の好き/嫌いな香りを知っている
さて、揺るぎない意志で香水をプレゼントしようと決めた時、皆さんはどうやって香りを選びますか?
いちばん手っ取り早いのは、web検索で上位に出てきた人気の香水を贈ることでしょうか。 でも果たして、それでいいのだろうかと少し立ち止まってみてほしいのです。上にも書いたように、プレゼントをするときに大切なことは相手を想うこと。たとえ人気で流行の香りでも本当に相手に似合うのか、本当に相手が喜ぶのかということを考えてみて頂きたいのです。
先日友人が誕生日を迎え、プレゼントとしてある有名ブランドの限定販売の香水を贈られていました。ネットでも話題になった、完売続出の香水です。ところが貰った彼女は、その香水の香りが全く好みではなく、使うことはほとんどないというのです。香水という、身にまとう以外ほぼ選択肢のない贈り物が好きな香りでない時の悲劇というのは、彼女の困惑を見れば明らかでした。ただ、その率直さが魅力の友人は続けて興味深いことを言いました。 「もちろんプレゼントは嬉しいけど、なんで私にこれを選んだのかとか言ってくれればまだ、ねえ……。」
やはり大切なのは、プレゼントという行為の背景にある贈り手のストーリーなのではないでしょうか。たしかに香りの好き嫌いは分からないけれど、たとえば相手が好きなアーティストとコラボした香水や、相手の専門分野につながりがありそうな香水など「なぜこの香水を贈るのか」という目的やストーリーがはっきりしていれば、また、そういったことを考えるのにかけた時間というのが、相手の喜びにより直接作用すると思うのです。 とはいえ、せっかく香水を贈ると決めた以上は相手の好きな香りをバッチリ選んで喜んで使ってもらいたいですよね。相手の香りの好みを知るにはどのような手段があるのでしょうか。
⑤一緒に香水店へ行ってみては?
いちばんいいのはデートや遊びの過程で一緒に香水店へ行ってみることです。ひと昔前までは香水といえば百貨店の化粧品売り場に鎮座していることがほとんどで、特に男性などは立ち寄りにくいものがあったと思います。ただ、今はそういった百貨店だけでなく、商業施設内にカジュアルな雰囲気の香水店があったり、セレクトショップの中などにも香水が置いてあったりします。いきなり香水見にいこうよ、ということが言いにくかったとしても、洋服を見るついでなど気軽に行くこともできると思います。実際お店に行った時は、この香り好き、嫌いとあれこれ言いながら、もし香料が記載されているシートがあるならそれにも目を通しつつ、お互いの好きのツボがどこにあるのかを探してみるのも楽しいと思います。
ただ、このようなご時世ですし、さまざまな理由から一緒に選びに行く機会が作れないこともあるかと思います。そういう時は無理せず相手にきちんと選んでもらうというのもまたひとつの選択肢。LIBERTAではメールで贈れるEギフトカードも用意してるので、診断フォームを相手に送って答えてもらうことも可能です。気軽に使えつつ、洋服の仕立て券のようなちょっとした特別感も演出できておすすめです。
⑥相手に似合う香水を選ぶ
さて、相手の好みを把握している上で、贈りたい香水がもう決まっているとしたら何も言うことはありません。店員さんに綺麗にラッピングしてもらって、来たる日までソワソワしながら待ちましょう。
でもたとえ香りの好みをなんとなく把握できていても、贈る香水が思い当たるかどうかはまた別のお話ですよね。とにかく香水は数が多い。それに、たとえば相手がローズの香りを好きだと言っていたとしても、お互いが思っているローズの香りが同じだとは限りません。また、ローズが使われていても、他の香料との処方によって香り方は千差万別だということは言うまでもありません。
そういう時はやはり、ぜひわたし達の診断を利用してみてください。用意した20の質問は、あなたがプレゼントを贈りたい相手のことを思い浮かべながら答えて頂いても、きっと似合う香りをご提供できると思います。香りのことだけでなくファッションや食生活のこともなど含まれているので、ただ質問に答える数分の時間が、相手のことをより深く考えるための時間になって頂けたら幸いです。
まとめ
今回はギフトとしての香水について書きました。平素のコミュニケーションの中に香りについて、を取り入れてみながら、自分も相手も心地良くいられるような香水選びをできるようになったらいいなと願っています。お読み頂きありがとうございました。
注
※1)M.C.ペリー、F.L.ホークス編纂、宮崎壽子監訳『ペリー提督日本遠征記下』角川文庫、2014年、211頁