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2020.11.25

【後編】LIBERTAチームが語る!ブランドにかける想いとは?

前編ではブランドリニューアルの内幕について語った矢部、山根両氏。後編は、愛香家である2人が香水に出会ったきっかけや香水に対するこだわりなど、よりパーソナルな部分について語ってもらった。

インタビュイープロフィール
□矢部翔太 Shota Yabe
アートディレクター&デザイナー。大学卒業後、大手広告代理店に入社。アートディレクターとして広告、CM、企業ブランディング等のデザイン・アートワークを手掛ける。
好きな香料は白檀とアイリス。

□山根大輝 Daiki Yamane
Founder&CEO。大学卒業後、コンサルティングファームで働きながらパルファンサトリで調香を学ぶ。2018年、香りを専門とするヤマネコ株式会社(現Scentopia)を創業。
好きな香料はプチグレン、ネロリ、ガルバナム。

—次にお二人の香水との出会いについてお聞かせください


矢部:もともと母が香水好きで小学生ぐらいから興味はありましたが、小学6年生のとき、母の買い物について行った地元のデパートでディオールのファーレンハイトを見つけたことが大きなきっかけです。実は、0歳から4歳までシンガポールにいたのですが、当時シンガポールで大流行していたのがファーレンハイトで、あらゆるショッピングモールでその香りがしていたんですけど、デパートで嗅いだ瞬間当時のその記憶がバーッとよみがえってきて、うわ香水ってすごい!面白い!って思った。それから自分でちょこちょこ買うようになって、高校生の時はヒプノティックプワゾンを愛用していましたね。ディオールやコムデギャルソンが好きだった。
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—ファーレンハイトは愛用しなかった?


矢部:きっかけではあるけど、香りは自分には男っぽ過ぎてつけることはないんですよね(笑)
ただ、ここまで香水を偏愛するようになったのは社会人になってからですよ。やっぱり経済的余裕ができたっていうことが大きい。香水って高いじゃない。

山根:僕は中学生の時、初めての彼女とのデートに母の香水を勝手に使ったのが最初です。ランバンのエクラドゥアルページュでした。矢部さんのエピソードじゃないですが、やはり記憶との結びつきがあって、その彼女と別れてからしばらくして再会したときに、同じ香水を僕がつけていたんです。そしたら、あの時の香りがするねってその子に言われて。良い思い出とトラウマの中間くらいです(笑)

—愛香歴の長いお二人が魅力を感じる香水とは?


山根:僕は単に自分が好きならそれでいいとも思っていますが、今は作る側であることも踏まえると、情景が浮かぶ香りに惹かれます。
たとえば、リベルタにはアクアという香りがありますが、水面が太陽でオレンジ色に染まっている波風のない穏やかな海の情景がインスピレーションになっています。その情景って、自分がスリランカに行ったときビーチでみた景色なんです。やはり記憶と結びついている。情景と香りが双方向にリンクする香りに惹かれますし、そういう香りをつくりたいですね。
ただその一方で、あくまでそういう情景は僕のフィルターを通したものであって、実際に香りを選ぶときはお客様自身が色々思い浮かべてほしいです。事実、世の中にはパフューマ―の体験や思い出を売り出してくる香水がほとんどなので、既存のことはしたくないっていう天邪鬼な思いもあります(笑)

矢部:わたしは、なにこれ嗅いだことない!っていう香水が好きです。未知との遭遇みたいな。そういう香水に出会うと財布の紐が急にゆるくなっちゃいます。ただ、服もそうなんですが、そういうのに惹かれすぎてスタンダードなものが全然なくて。変な服と変な香水ばっかり(笑)

—どんな時に香水を使いたくなる?


山根:自分の中でスイッチをオンにする時ですね。ちょっと自分に自信を持たせたいときというか、もう1枚良い上着を羽織るイメージです。だから人に気付かれたいとかはあまり気にしていないです。

矢部:私もほとんど一緒で、自分をエンパワーメントする役割。だから寝る時には香水はつけないんです、スイッチ入っちゃうんで。

山根:あ、僕もそうです。

矢部:あとは、プレゼンの時なんかはいつもより強く香らせてます。わたしが来たぞ!っていうのを印象に残したいようなときは多めにプッシュしていますね。

—アクセサリーのひとつのような感覚でしょうか?日本ではファッションとしての香水だけでなく、香りによるリラックス効果というイメージも強調されている印象があります


矢部:高校生くらいまでは自分のリラックスのためとか、寝る前の香水も楽しめていたんですが、社会人になってからは香水でリラックスという感覚はあまりないですね。あ、でも寝る時にお香を焚くことはありますよ。

山根:僕は香水が仕事になっているということもありますけど、やはりリラックスとは無縁になってきましたね。寝るときは使っても精油とか。
それもあってか、徐々に背伸びした香りは使わなくなりました。主張が強いものとか変わったものというより、自分とのギャップの少ない、あなたらしいよねって言われる香りを自然に選ぶことが多くなりましたね。
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—香りという目に見えないものをどう表現するか


山根:香りは嗅覚の領域ですが、実はその表現方法は他の感覚に頼ることが多い。なめらかな、とかキンッとしているとか。そういったことを積み重ねていくと、繰り返しになりますが情景や人物像が見えてくるんです。だから見ず知らずの人でも、香りへの感想を共有できたりする。リベルタの診断にもそういう要素を反映させています。

矢部:でも、たとえばわたしチュベローズの香りを嗅ぐとドラァグクイーンを思い出すんですけど、これはなかなか共有できない(笑)
嗅覚的にはわたしは素人なのであまり的確な香りの説明はできないけど、ただ、わたしは香りだけではなくてストーリーやデザインの要素も大事にしている。アートディレクターという職業柄なのかもしれないけれど、香水は良い香りだけ作ればいいとは思っていなくて、作り手全体の説明責任みたいなものを求めちゃうんです。どういう意図でその香水をデザインしたの?って。セルジュルタンスに惹かれるのは、そのバランスがとても良いから。不可思議でポエティックなストーリーのように見えて、ちゃんと香りの説明要素を落とし込んで一貫している。

—ブランドのストーリーという話が出ましたが、ブランドが打ち出す香水のイメージストーリーは派手で現実離れしたものが多いですよね。一方で、最近はヴィーガンフレグランスなど、香水の世界でもナチュラル志向に注目が集まっています。その中でリベルタが提示するストーリーや、業界で狙うポジションのようなものはあるのでしょうか?


矢部:宮殿ドーン!薔薇と金髪美女バーン!みたいなね(笑)
ファッションフレグランスについて言えば、香水はあくまでファッションブランドの一商品であるということが大きいと思います。ファッションやコレクションが軸であって、そのブランドが打ち出す世界観をベースに香りのプロモーションをしなければならないから、自然と大風呂敷になるんです。
一方、ニッチフレグランスの中には、もはや香りの説明どころかファンタジー小説を読まされているような気分になるものもあるけど、そういう世界観がまた魅力になっている場合もある。リキッドイマジネとかセルジュルタンスとかがそうですよね。

山根:でも、そういうファッションフレグランスが打ち出すイメージって30年くらい変わってないように思います。良い男像とか、女性らしさみたいなものの価値観がアップデートされていないんじゃないかな。
その上でリベルタのポジションは、「第三ウェーブの香水」だと考えています。第一波はシャネル。誰もが憧れる香りを既製品として大量生産しました。第二波がニッチフレグランス。みんなの憧れから外れて、独特な世界観や突飛な香りなど間口の狭さが魅力に直結している。そして第三波はいろいろな捉え方があるとして、僕は「消費者への回帰」だと思っている。今までの香水は、たとえば香料の希少性やブランドヒストリーなどあくまでモノやブランドが全面に謳われていました。それを、ヒト主体に変えたい。大げさに言えば、その人がどういう体験をして、どういう香りを選ぶかということにブランドが一緒に寄り添っていきたいんです。だからこそ、リベルタ側からの固定されたストーリーや世界観は必要ないと思っています。

矢部:リベルタに関しては、香りそのものが説明になっていいんだと思います。ブランドが提示するストーリーで香水を買ってもらうのではなくて、あなたが思っていることやあなた自身のストーリーを香りにするとこれだよっていうのを提示してあげるイメージ。

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—ここまでお話を伺って、リベルタの魅力の一つはその絶妙さにあると感じました。サイズや価格設定もそうですが、入り口は広く、香りはニッチ過ぎず、それでも特別観がある。お二人の精緻なクリエーションとブランディングによるものだと改めて分かりましたが、今後の展開は?


山根:まずは日本一の香水ブランドを目指したいです。香水と言えばリベルタ、と言われたい。直近では、店舗をつくることを目標にしています。それは、お客様に体験を提供したいから。もちろんWEB上の診断でその人専用の香りを届けることも体験価値だと思いますが、たとえばオーダーしたスーツを長く愛せるのは、単に自分に合っているからというだけではなくて、そのテーラーで体験したひとつひとつの出来事の積み重ねがあるからです。それを香水の世界でも実現したいと考えると、やはりウェブだけではできないことも多い。しっかりお客様と向き合い、語り合う時間を大切にしたいです。

矢部:私の場合あくまでデザイナーとしての立場ですが、山根さんが目標とするブランドにふさわしい顔つきにしたいという思い。それに、わたし自身としても多くの人々が良いねって言ってくれるデザインをつくりあげたいですね。学生時代にデザインを勉強していながら、いま働いている広告の世界では刹那的な消費がほとんど。ブランドデザインを通して最大幸福値をはかれる仕事に携われてとても嬉しいです。

—最後に、お二人にとって香水とは


山根:自分の気分に寄り添うもの、ですかね。とくべつ僕が気分屋というわけではなく、たとえば男らしくいきたい時もあれば、中性的でいたい時もある。そういう気分の変化に寄り添ってくれるのが香水です。

矢部:趣味です、で片づけちゃだめですよね(笑)
最近でいうと、もっぱらコミュニケーションツールになっています。周りを見渡すと、なにかいい香りは欲しいけどどこで買っていいかわからない、とか、どんな香りが合うかわからない、って言っている人が結構多い。そんなモヤモヤをつついたりしながら、山根さんとの出会いもそうですが、香水を通じて人と仲良くなることが増えて、わたし自身香水のある生活をとても楽しんでいます。

【対談を終えて】
かつて塩は労働の対価だった。紅茶は仙薬で、チョコレートは黄金に匹敵したという。いまはそのすべてがコンビニで買える。気取った嗜好品という香水のイメージが取り払われるのはいったいいつになるのだろう。趣味人でしかない僕は、そんなことを休日の昼下がりにふと思うことがある。しかし、山根さんは思うだけでは堪らなくなってしまった。それまで築いたトップレベルの地位や環境を捨て、自らその答えを出すべく香水の世界へ飛び込んだ。その想いに動かされ、矢部さんはデザイナーとして培った技術と才能を惜しみなく山根さんのブランドに注いだ。飛び込んだ結果もたらされた運命的な出会いと言う他ない。
そんな2人に共通するのは、香水への限りない愛と、とにかく良いものを世の中に生み出したいというプロとしての矜持だ。香りが人々の生活を豊かに彩っている社会を、2人は朝日が昇ることのように確信を持って見据えている。話を聞き終えて、そう強く思ったためにこのあとがきを書いた。

LIBERTAPerfume公式Twitter:@LIBERTA_Perfume
Instagram :liberta_perfume
山根大輝:@NY406
矢部翔太:@pyabes_voice
(聞き手・文:ベセベジェ@dantalionperfu6)

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