カート

Journal

journalTOP画像

香水探し、ある男の場合

article

2020.09.25

ふとジャスミンの香水が欲しくなってほうぼう探し始めた。言うまでもないことなのかもしれないが、漠然と何か香水を探す場合と、香料や目的を決めて探す場合とでは幾つか違いがある。まず効率が違う。この香料、と決めていれば店舗では「ジャスミンの香水を探している」と言えばいいし、ネットで探すにも香料をチェックするか、いっそ【香水ジャスミン】とキーボードを叩けば何かしらの提案は受けられる。服を買いに行くときも、ふらふら店を回るよりアイテムを決めて探す方が買い物の効率はずっといいだろう。ただ、パーカーを買いに行ったはずなのに気付いたらコートが入った袋を持って往来に立ち尽くしているということも多々あるが、それもまた買い物の面白さである。
journal本文画像
それから、ワクワクが違う。果てしない選択肢の中でお気に入りの1 本を探すのももちろん楽しいのだが、ある香料にしぼることで、かえって今まで見逃していた選択肢たちが突然目の前に整列し始める。それを順番に試してゆくわけだから、後ろに並んで待っている香水の数が多ければ多いほど高揚感が湧いてくる。筆者は最近、冒頭にも書いたようにジャスミンやアイリスなどいままで苦手だった香りに興味が湧いてきたがために、見尽くしたと思っていた香水の世界に新たな鉱脈を見つけた気持ちで、日々嬉々としてその鉱脈を掘り進めている。
ところが、手つかずの坑内を進むにつれ思わぬ壁にぶつかった。ジャスミンが使われている香水があまりにも多いのだ。大抵の香水に使われているのではないかと思うほどで、その多さには辟易してしまった。数行前に選択肢が多いと高揚する、と書いたばかりのくせになんと意志の弱いことだろう。

そこで、ジャスミンの種類を絞ることにした。一口にジャスミンといっても産地や香気成分の種類によって香りに違いがある。たとえばエジプトやモロッコなど熱帯地域産のジャスミンはややアニマリックなまったりとした甘さを持つが、中国産はさっぱりとしたグリーンフローラルの香りだ。そんなことを調べながら試していくうちに、中でもジャスミンサンバックが好みに合うと分かった。茉莉花ともいう、主にジャスミンティーの香りづけに使われるものだ。また同時に、組み合わせから絞る作業も行った。ジャスミンというキーワードで香りを試しながら、良いなと思う香水に使われている他の香料をチェックするのだ。すると、気になる香りには合成ムスクとアンバーが使われていることが多いと気付いた。ここまでくれば、光り輝く運命の1 本はもう目の前である。手に入れた情報でつるはしをいっそう尖らせ、懸命に振るう。やがて、探し求めていた理想の香りが坑内に満ちてきた。すっきりとしたジャスミンサンバックの香りに優しくムスクが寄り添い、アンバーとサンダルウッドが全体をしっかり支えている。苦労の末ようやく掘り当てたその香水は、その道のりの長さゆえに特別な香りとなって今日も筆者の肌の上にある。
journal本文画像
以上を読んで、そんな七面倒くさいことをせずに理想の香水が欲しいという人に朗報がある。リベルタのオーダーメイドフレグランスは、求める香りのイメージが漠然としていようとも、あるいは細部にわたるこだわりがあろうとも、作り手の確かな知識と経験から素晴らしい1 本を提供できるはずだ。そろそろきちんと宣伝をしないと悪いような気がして、この文章を書いた。